高橋政史著、「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」を取り上げます。
仕事のためにノート術本を読む時の注意:なぜうまく使いこなせないのか?
仕事のためにノートを使いこなしたいと考える人はたくさんいますし、それに関係して、ノート術に関する本は数多く出版されています。
どのノート術本も著者なりの視点で書かれていて、いろいろな特長がありますが、1つ注意しておかなければならないことがあります。
それは、「ノート術」というもの自体が、あくまで手段であるということです。
- ノート術を使って何をしたいか?
- 仕事なら自分にとってのどんな課題を解決するために活用したいか?
人によって答えが違うところですが、ここを押さえないままでノート術だけをまねしても、おそらく定着しないでしょう。
結局活用できないまま、成果を出せず、やめてしまうことになります。
逆に、ここを自分なりに明確にし、自分が持っている課題に具体的に当てはめながらノート術を真似て活用していくことができれば、理解も進み、定着しやすいと思います。
本書においても、「方眼ノートを使うと記憶力がアップする」、「方眼ノートを使うとロジカルシンキングができる」といった表現がでてきますが、今使っているノートを単に方眼ノートに変えただけですぐにそうなるわけではありません。
方眼ノートを使うのも手段ですし、この本に書かれている「黄金の3分割」もそうです。
「頭のよさは「フレーム」で決まります(p.53)」といった表現もありますが、フレームを使うことも手段の1つですね。
こういった手段をヒントとして取り込み、自分のノート術を確立していくことが重要です。
また本書は、こういった表現の部分で違和感を感じられる方もおられるかもしれません。
しかし、そういった部分以外では参考になることも書かれていますし、私も方眼ノートに「3分割」を取り入れて、自分なりにアレンジして活用しようとしています。
事実をもとにノートを横方向に使っていき、課題からアクションを導き出すための訓練をするなど、自分がやりたいと思うことに本書のようなノート術をあてはめればよいのです。
方眼ノートを使うメリット
私も日常的に方眼ノートを使用しています。
オキナやマルマンのA4の方眼レポート用紙や、マルマンのB5スパイラルノートなどです。
使ってみて、方眼ノートを使うことにメリットを感じる点は、やはり
- 各行のインデントを揃えやすい
- 縦横に定規で線を引きやすい
ですね。
縦にインデントが揃うと確かに見やすいですし、また定規で縦横にすぐに線が引けるのも便利です。
この2点は、確かに罫線ノートよりも方眼ノートの方が優ると思います。
ノートを横方向に3分割して使う
ノートを見開きで3分割したり、1枚のA4方眼レポート紙を横にして「3分割」して使う方法について、この3分割を進めるノート術本は他にもあります。
実践しているかたも多いでしょう。
この「3分割」を行う動機は概ね以下です。
- 事実と、自分の考察とを分けて、ひと目で見えるように書く。
- 事実に基づいて自分の考察を展開していく。
- アクションまで書き下すところまで進める。
仕事において、何らかの課題設定をし、それに関連する事実を並べて分析し、タスク(アクション)に落としこむというのは日常的に行う活動ですが、タイトルを設定して「事実」、「解釈」、「行動」と「3分割」して整理するという方法はまさにこの活動の流れに沿っているわけです。
これを、縦方向に書いていくのではなく、ノートの見開き2ページを使って横方向に書いていくというのが本書で勧める「3分割」です。
この方法、確かに有効ではあるのですが、いざ実践してみるとなかなか難しい面もあります。
よくあるのが、「事実」、「解釈」、「行動」といった3つのパートを書く分量の差が気になるという点でしょうか。
「事実」を書く量が「解釈」、「行動」を書く量より多い分にはまだいい。しかし、反対に「解釈」、「行動」を書く量が多くなってしまったらどうするか?
そもそも、現場で実際にやっていると、見開き2ページで1テーマがうまく収まることばかりではない。
つまり、書く分量について工夫が必要になってくるのです。
結局、「1万枚の法則」と表現されているように、たくさん書いて練習して、うまくなるようにトレーニングすることが必要になってきます。
あるいは、「3分割」ノートとは別に、メモを取るための従来型のノートを別に用意するかですね。
まずはその従来型のノートにメモをし、次のステップとして本書を参考に「3分割」ノートに思考をまとめるという流れです。
いずれにしても、この本に書かれていることをヒントに、自分にあったノート術を確立することを目指す必要があります。
ヒントになることもたくさん書かれていると思いますので、参考にしてください。
また本書は、「図解」編も出版されています。
内容は、本書の解説本、まとめ本と言った位置づけのものと考えます。
ひと目でわかる図例がたくさん載せられているので、こちらも参考にしてください。