知的生産性を上げるために勉強しようと思い、論理的な思考方法や思考のフレームワークに関する本をたくさん読んできた。
でも、自分の仕事にどうもうまく活かせない。思ったように生産性が上がった実感がない。
こういった話はよくあると思います。
論理的な思考方法や思考のフレームワークといったものは、知的生産のプロセスの一部にフォーカスした道具の1つに過ぎないと著者は指摘します。
ではどうすればよいか。
山口周著、「外資系コンサルの知的生産術」を読んでみましょう。
思考の技術ではなく行動の技術を学ぶ
知的生産というものは、どのような仕事であれ、インプットからアウトプットまで一連の作業プロセスがあります。
その全体を通しきるのが知的生産の力。
筆者は、単に思考の技術という一部分だけの技術を高めるのではなく、「情報をどう集めるか」、「集めた情報をどう処理するか」という「行動の技術」が重要と述べます。(P.4)
確かに、これは実際に実務について、情報を集める戦略からインプット、アウトプットまで通す経験をたくさん積まないと力がつかないところです。
その流れの要所要所で、もちろん思考の技術が必要になってきます。
ですから、決して思考の技術が必要ないというわけではないのです。
単に思考の技術だけを学んでも、知的生産力が上がるわけではないということですね。
知的生産のプロセスにおける4つの要素
本書では、知的生産は大きく4つのプロセスに分けて考えています。
戦略、インプット、プロセッシング アウトプットの4つです。
一番重要なのは、やはり戦略をたてるところですね。
これも、この知的生産のプロセスを何度も経験しないとうまくならないとこというのが実感です。
本書では、この知的生産の「戦略」について、9つのヒントをあげています。
全体的には、コンサルティングを行う立場の観点からあげられている項目と読めそうですが、他の業種にもあてはめて応用することはできるでしょう。
例えば、顧客と書いてあるところは、読む人にとっては上司や所属長、あるいは社長が当てはまるかもしれません。
プロセッシングについては、39のヒントをあげています。
事実だけを集めても、それは知的生産にはなりません。集めた事実をどう処理して、「顧客の知識と差別化した」、「新しさを出した」アウトプットができるか。
この点で、プロセッシングも知的生産のプロセスの肝になります。
99の心得
本書は、このような知的生産性を上げるためのヒントを、「99の心得」という形でまとめたものです。
目次を読むとわかりますが、仕事の内容によって、自分の仕事に当てはまるものを選びやすいと思います。
例えば、「インプット」の章で、インタビューや現場観察といったことが関係する仕事ではない場合も、アウトプットを先にイメージすることや、仮説を捨てるつもりで作るといった点については参考になります。
「プロセッシング」の章では、ポジションを最初から取る、思考停止キーワードを避ける、数値の皮膚感覚を磨く、などですね。
読み返してみて、改めて気づく点がたくさんありました。