会社で人に何かを説明したり報告したりすることが苦手だという人は多いと思います。
がんばって話をしても、相手にあまり通じない、あるいはよくわからないと言われる。私自身もよくあります。
そこで、伊藤羊一著、「1分で話せ」を読んでみます。
なぜ1分で話す必要があるか?さっそく読んでみましょう。
人は相手の話の80%は聞いていない(本書p.17)
まず第一に認識すべきは、多くの場合、人は話を聞くときにほとんど相手の話を聞いていないということです。
著者は、
人は相手の話の80%は聞いていない(本書p.17)
と述べています。
私も確かにその程度のものだと感じます。
たくさんしゃべっても、すべては伝わらない。ここをまず出発点に考えよということです。
そこで著者は、「1分で話せるように話を組み立て、伝える。(本書p.20)」ことを提案します。
1分でまとまらない話は、結局何時間かけても伝わらない。たとえ、プレゼンが5分でも30分でも、まず1分で話せるように話を組み立てる。
話すときの1分というのは、意外と時間があります。この時間の長さでまとめられる長さかどうか。相手が8割聞いていないとするなら、十分長い時間です。
目的は「人に動いてもらうこと」
その前に、プレゼンにしろ、何かの報告にしろ、話をする目的がどこにあるかを認識しておく必要があります。
その目的は何か?
自分の話を単に聞いて理解してもらうことだけなら、それは悩み相談のようなもの。
本当に悩み相談ならよいのですが、多くの場合は理解してもらうことだけがゴールではないはずです。
目的はやはり、話を聞いてもらった相手に何かをしてもらうことだということです。
そのためには聞き手をどういう状態にもっていくか?8割は聞いていない相手の頭に少しでも話の内容を残して動いてもらうためにどうするか?
ポイントは、左脳と右脳の両方に働きかける話を1分程度の長さにまとめるということです。
左脳に働きかけるのは「ロジックに基づいた話」。ビジネスの世界で、おもしろいと思ってもらえるのは、やはりロジックに基づいた話です。
でもそれだけでは足りない。正しいことをロジックに基づいて話しただけでは不十分です。
左脳への働きかけに加えて、やはり右脳に働きかけてイメージを想起させ、その気になってもらうことが必要です。
前者は第2章、後者は第4章で話が展開されます。
自分がどういう意思をもって相手を動かしたいか。ここですね。
人に動いてもらうためにどう伝えるか?
そして、人に動いてもらうためにどう伝えるかという話になります。
「ロジックに基づいた話」の方については、主張+根拠3つを構成要素にもつピラミッド構造、この型に嵌め込みます。
ピラミッド構造については、以下の記事の本でも紹介しています。

単に事実の羅列ではNG。伝わりません。
大前研一さんが、「考えるとは知識と情報を加工して結論を出すことだ」とどこかで書かれていたのを読んだ記憶があります。(本書p.47)
事実に基づき、自分の結論を主張として提示し、その根拠を完結に述べること。これが基本形となります。
つい、根拠をたくさん書きすぎることが多いですが、3つで十分です。
ロジカルに書くことに対して、敷居が高いと感じる方も多いと思いますが、
意味がつながっていればロジカル(本書p.65)
と著者は説きます。
そして、つながっているかどうかは聞き手が決めるというのがポイントです。
自分で気づきにくいことが多いので、事前に誰か他の人に聞いてもらえれば一番よいです。