三木雄信著、「孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術」を取り上げます。
本書は「数値化」をテーマにしたビジネス書です。
「数値化なんか、毎日嫌というほどやっている」という人はたくさんいると思いますし、それでうまくいっているのならいいでしょう。
しかし、「数値化は毎日やってるのに、成果が出ない」ということであれば、本書はよいヒントを与えてくれると思います。
数値化する目的
本書は「数値化」をテーマにしたビジネス書です。
この本で扱う「数値化」は、とった数字を使って振り返り行うことを目的とするのではなく、とった数字を事実して現状を分析し、次に何をすべきかを考えるための根拠をもつことを目的としています。
まさに、ただ過去を振り返るためではなく、現状を把握し、次の一手を考えるために使う、といってよいでしょう
ただし、数値化を重視するといっても、会社の経営層が出してくる数値をただ眺めたりいじったりするのではありません。
自分の現場で本当に必要な数値が何かを見極め、実際に計測し、問題認識、課題設定、タスク設定に活用する、という内容です。
具体的な数値で示すことができれば、上司や経営層を納得させる強力な武器にもなるでしょう。
さらに、本書で強調されているのは、最初から高い精度の数値化を求めているのではなく、粗くていいからまず始めること、そしてタスクに移ったあとも効果を計測し続けて、目論見とずれてきたらすぐに分析し直して課題やタスクを見直すことです。
たっぷり時間をかけて計画を練るが、立てたら数値化はおしまい、となりがちですが、その点も重要な改善ポイントというわけです。
最初からうまくはいかないし、慣れやコツが必要だとは思いますが、数値化して検証するというサイクルを短時間で回すという点には納得される方も多いでしょう。
数値化に関する7つ道具と7つの知識
本書では、このような取り組みをしていく上で、強力なツールになると考えられる、「7つ道具」と「7つの知識」が挙げられています。
どれも特殊なものではなく、馴染みがあったり、よく聞くものではありますが、こういうシンプルな道具や知識をしっかり使いこなせることが重要でしょう。
7つ道具の一つとしては、やはり「プロセス分析」は基本中の基本でしょう。
一連の仕事の流れをプロセスに分け、各プロセスで必要な数値を計測し、ボトルネックを把握する。
どこにでも書いてある基本ですが、適切な数値を選び出し、計測して成果に導くのはなかなか難しいものです。
「適切に分けて、測定する」。本書で強調されていることですが、この点しっかり見直したいところです。
7つの知識としては、本書に登場する「大数の法則と期待値」も基本ですし、「鮭の卵理論」も重要です。
本書では、もう一歩進め、この法則はそうだとして、ビジネスでは自分で成功確率の部分を上げるにはどうするかを考えることが重要だと説きます。
本文の言葉を借りると、まさに「有利なサイコロを振る」ということですね。
「鮭の卵理論」も、平たく言えば、本文の通り、「数うちゃ当たる」ですが、未来は誰にもわからない前提で、いかにくじを引くコストを下げて当たりを自分のものにするか、カリスマ経営者の考え方が垣間見えます。
すべてをあげることはしませんが、自分が持つ問題や課題に合うものを見つけ、早速実践してみましょう。
数値化するとどうなるか
やはり、仕事におけるいろいろな場面で、これまで感覚的に捉えていたことを数値化して捉えることを考えるようになります。
課題が本質的にどこにあるか、タスクの優先順位はどうなるか。
本書からポイントを拾うと、
- 「数える前に分ける」これが数値化仕事術の鉄則
- 数値化すれば、着手すべき問題の優先順位が明確になる。
- 効果の大きいものから着手する。
でしょうか。
カリスマ的存在の経営者が何を重視し、どういう考え方をしているか。参考になる1冊です。