谷原誠著、「時間を増やす思考法」を読みます。
本書のポイントは、著者自身が「おわりに」(p.234)で簡潔にまとめています。
書店で手に取る機会があれば、目次を確認した後に、ここをまずチェックしてみるとよいです。
時間管理の方法を説いた本は世の中にたくさんありますが、本書で著者は、単にその方法論を説くだけではなく、「時間管理により時間をうまく増やしたとして、それを何に使うか」に踏み込んで考えます。
自分の目的に対して最高の集中力をもってできるだけ多くの時間を投下し、それ以外は諦める。
その目的とは何か?それは「自分にとって優先順位が高いことをこなす」です。
そして、そのための時間術の実行プロセスを7つにわけています。(p.235)
本書は、この各プロセスを21のエピソードを使って説明するとう構成になっています。
時間という資産を何に投資するか、答えはもちろん自分の中にあります。この点に頭において、自分に足りないところを補っていきましょう。
私にとって特に印象深かったところを以下にあげます。
ウィルパワー(p.73)
アメリカの心理学者ロイ・バウマイスターが提唱している、「ウィルパワー(意志力)」という言葉と考え方を、著者はここで引用しています。
- 一日に使えるウィルパワー(意志力)の量には限りがある。
- 何かを決断するたびに、そのウィルパワーが減少し、集中力がなくなっていく。
- ウィルパワーを回復させる一番の方法は睡眠である。
自分にとって優先順位が高いことをこなすことが最大の目的ですので、そのために時間をどう生み出すか、何をすてるかというところで判断が必要になります。
一方、ウィルパワーは有限な資源ですので、一日のうちでこの必要な判断を的確に行うために、無駄に浪費してはならない。
そのためには、あまり重要ではない判断を極力発生させないように、習慣化するなどの工夫をするわけです。
朝食や昼食で何を食べるか、朝起きてから仕事を始めるまでの行動を同じ順番にしておく、着る服を決めておいてルーティン化する、など。
どこを習慣化、ルーティン化するかは人それぞれですし、自分で決めればよいのですが、このウィルパワーが一日の中で有限であるという認識をもっておくべきです。
そしてもちろん、ウィルパワー回復にはしっかり睡眠をとることが大事ですね。
自分がコントロールできていることに集中(p.119)
自分がコントロールできないことに悩む。これに悩んで無駄に時間を使ってしまう。やるべきことに集中できなくなる。
これが私にもよくあります。
わかっているつもりでも、ふとした瞬間に、気になることが頭の中を占領して、集中力が切れてしまうんですね。
心配事が起こるかどうかは自分でコントロールできないのだから、考えない。それが生じた時にどうするべきかを考える。ここに判断を使う。そうすれば、自分が自分がコントロールできる範囲に入ってくるし、この判断に集中できる。
なるほど、これは確かに自分自身の考え方次第です。
大事なことは目の前のやるべきこと集中すること。コントロールできないことに悩んで時間を消費しないことですね。
ToDoリスト(p.151)
ToDoリストは誰でもよく使う手段で、私もそうですが、あまり使いこなせているとはいえません。
使いこなせた実感がわかないのは、自分が書いたToDoの項目がすべて終わらず、どんどん増えていく一方だからです。これが結構気が滅入るんですね。
もともと、ToDoリストをを作成するのは、頭の中から出しておいて、覚えておく労力を減らすためのもの。著者も述べているとおり、「時間管理のツールではなく、集中力を高めるためのツール(p.157)」です。
これを時間管理のツールにまで高めるには、スケジューリングすること、つまり、各タスクに時間情報をつけておくことです。
一日の中でこなしたいのであれば、どの時間帯にやるか、一週間ならどの日からどの日までにやるか。リストアップした各項目の右側に時間軸の情報をつけておく。
これは、よく使われている方法だと思いますが、ある意味トレーニングが必要です。まずは一日のレベルで時間割のようなものを作り、一日の終わりに振り返ってみることでしょうか。